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Coffee Break 「神の数式2」

神の数式2  宇宙はなぜ生まれたのか〜最後の難問に挑む天才たち

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 宇宙はどこから来たのか?それは人類最大の謎。昨年おこなわれた理論物理学の学会では、宇宙誕生の謎に挑もうとしていた。その謎を解くのはブラックホール。光すら出る事のできないブラックホールの奥を数式で表すことができれば、その謎に迫ることが出来る。それに必要なのか神の数式。それはアインシュタイン以来、物理学者の夢となっていた。
  しかし、神の数式にいたる道は苦難の連続で、異次元が存在しこの世界がいつ崩壊してもおかしくない…との数式まで出てきてしまった。さらに数式の予言を検証しようという取り組みも世界各国で行なわれている。神の数式2は宇宙は何故生まれたのか…究極の謎に迫る物理学者たちの闘いに迫る。

 アメリカ・コロラド州にあるアスペン物理学センター。ここは物理学上の様々な発見を行なってきた場所で、物理学の聖地とも言われている。50周年を祝うイベントにいまや神の数式に限りなく近づいたとされるジョン・シュワルツ氏が招かれていた。シュワルツ氏が生み出した数式は超弦理論という名前で知られている。
  神の数式を追い求めるきっかけとなった場所がウィルソン山天文台。ここは宇宙の動きを正確に表す重力理論「一般相対性理論」を生み出したかのアインシュタインも訪れた天文台で、ここで宇宙が膨張している事が人類史上初めて確認されたのだった。

 一般相対性理論は一見難しいが、その意味は重さやエネルギーがあると空間が歪むというシンプルな数式。アインシュタインはこの数式を用いて巨大な重力が存在するところでは光さえも曲がると予測し、巨大な重力もとでは、本来は裏に隠れて見えない星も曲げられて見えると予言し、それは実際の観測で実証された。
  宇宙がどこから来たのか解き明かすと期待された一般相対性理論だが、車椅子の天才スティーブン・ホーキングは、一般相対性理論は神の数式ではないという事に気付いた。それはブラックホールの最も底の部分を考える事で気付いた矛盾だった。
 宇宙の始まりとブラックホールの底はどのように関係しているのか?これまで数式が解き明かしてきたのはビックバンから10のマイナス43乗秒経った後からの世界。誕生のその瞬間だけが、人類に残された最後の謎で、ビッグバンの瞬間と数式上全く同じとされるのがブラックホールの底だった。
  物理学者たちがブラックホールの底にたどり着くには、一般相対性理論の無限大の謎に迫らなくてはならない。そこで物理学者たちは一般相対性理論に素粒子の数式を組み合わせるとの発想が生まれた。

 一般相対性理論と素粒子の数式。2つを合わせて世界で初めて宇宙誕生の謎に迫ろうとしたのが、ロシアの物理学者マトベイ・ブロンスタインだった。ブロンスタインは貧しい家に生まれながら、独学で物理学を学び一般相対性理論と素粒子の数式を19歳で完璧に理解していた。
  ブロンスタインが挑もうとしたのはブラックホールだが、ブラックホールの底の謎に迫る前に、2つの数式が身の回りのミクロの空間で融合する事を証明しなくてはならなかった。しかし計算してみると分母に0が登場。これは計算不能を意味する無限大ということだった。2つの偉大な理論が一緒にすると働かない。これは解決する方法も見つからない難題だった。
 その頃、ソビエトはスターリンの時代となり知識人への弾圧が始まった。自由な思想を持つ科学者にもその矛先は向けられたが、1937年ブロンスタインは秘密警察に逮捕され、処刑されてしまった。

  宇宙の始まりに迫る神の数式に挑む時に出てくる無限大の問題。大きな転機を迎えたのは1974年。無限大問題を解決する数式を発見したとの論文が発表されたことだった。発表したのはブリンストン高等研究所で知り合ったジョン・シュワルツとジョエル・シャークの2人。2人は当時見向きもされなかった弦理論に注目し、超弦理論を発表し、一般相対性理論と素粒子の数式が解けなかった無限大の問題を解決した。
 どのようにして無限大の問題を解決したのか。超ミクロの宇宙世界で働く重力は、粒子の間の距離r2乗分の1とあらわすことが出来るが、粒子が点とすると衝突した瞬間距離はゼロとなり分母が0に。これこそが無限大が発生する理由。粒子を点ではなく、輪ゴムのような弦と考える事でそれを解決したのが超弦理論であった。しかし、物理学の主流派の学者達は、一般相対性理論と素粒子の数式という2つの神の数式と無関係に見えることや、数式が成立する条件が現実ではありえないということから超弦理論に目もくれなかった。
  超弦理論にのっとれば、この世界は10次元となってしまう。これが超弦理論の支持されない大きな理由。シャークは何かに取り付かれたように10次元の問題に取り組んだが、次第に瞑想にふけるなどという状態になり、突然命を絶ってしまった。シャークの遺志を継いで、シュワルツは他の物理学者が華々しい成果をあげるのを横目で見ながら超弦理論にこだわり1人研究を続けた。

 超弦理論に大きな転機が訪れたのはケンブリッジ大学のマイケル・グリーンが研究に加わった事。シュワルツとグリーンはこの世が4次元と証明するものはなく、数式が10次元と示しているのだから宇宙は10次元だったと自らの常識を疑い、超弦理論が神の数式にふさわしいかを検証することに。すると全く無関係に見えた、一般相対性理論と素粒子の数式が含まれていることが発見。
  数式に矛盾が生じていないか、最後の計算をしていると、496という数字が数式に次々と発生。496とは完全数の一つで、ギリシャ時代には天地創造と関係あるとあがめられていた数字。この数字が登場するということは数式の中で広大な宇宙とミクロの世界が美しく調和していることを意味していた。
 多くの物理学者が最終的にその存在を受け入れた異次元とは何なのか。ジョセフ・ポルチンスキー氏が綱渡りを例にしながら、次元が移動できる座標軸の数である事を説明。偉大な2つの数式を含む新たな超弦理論。しかし、この数式にもブラックホールの奥底で発生している謎の熱にまつわる難題が発生した。素粒子さえも身動きの取れないブラックホールの奥で何故熱が発生するのか?これはホーキングパラドックスといわれ、物理学者たちに突きつけられた難題だった。

  そんななか登場したのがジョセフ・ポルチンスキー。ポルチンスキーは超弦理論をさらに進化させることに成功。それはミクロの世界でたくさんの弦が集まり、膜の様に動いている…というものだった。
 この発見を受けて、世界中でブラックホールの熱についての計算が行なわれ、遂に膜の数式を加えた事で超弦理論はブラックホールの熱の問題を解決する事に成功。この問題を解決する数式は存在しないと主張していたホーキングは、自らの誤りを認めたのだった。

  超弦理論の予言を検証しようと言う動きが世界中に拡大。アメリカの重力波検出実験施設LIGOやヒッグス粒子を発見した欧州原子核研究機構などは、異次元の発見を目指している。さらにブラックホールについても世界各国がその入口を直接観察しようとしのぎを削っている。
 注目を集め続ける超弦理論。その生みの親であるジョン・シュワルツは、命あるうちに宇宙誕生の秘密にはたどり着けないかもしれないと思いはじめていた。宇宙はどこから来たのか。最新の数式が描く宇宙は11次元、しかも10の500乗個という想像を超える宇宙が存在しうるとの新たな難問も。それでも物理学者たちは、宇宙の神秘をひも解く神の数式を求め探求を続ける。 では、また。 by fineteqint

by fineteqint | 2013-09-30 12:36 | Trackback(1) | Comments(0)
Tracked from むぎの手記 at 2013-12-27 23:05
タイトル : NHKスペシャル 「神の数式」 全二回(H250921/..
NHK 「NHKスペシャル 神の数式」 第1回 この世は何からできているのか ~天才たちの100年の苦闘~ 第2回 宇宙はどこから来たのか ~最後の難問に挑む天才たち~ ◆感想 超弦理論に於ける計算で完全数「496」が次々と表れたという話には特に興味が沸いた。完全数とは、「〈n〉=〈n自身を除くnの約数の総和〉」となる自然数nの事。完全数には小さい数から「6」「28」「496」「8128」「33550336」「8589869056」がある。 研究の内容の解説だけでなく、研究者達の答を追い求める姿を織&...... more
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